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映画オッペンハイマー見ました
今回のアカデミー賞の映画オッペンハイマー。我が国日本が看過できない題材を扱っていて、なかなか重たい内容です↷。
でも日本人としては見ておかない訳にいかない!と思い予備知識もないまま見に行きました。
ホントに遊園地のティーカップに乗せられているかのように目まぐるしくて放り投げ出されるんじゃないかと思いました。
スタッフ、キャスト
スタッフ 監督:クリストファー・ノーラン
キャスト
- ロバート・オッペンハイマー:キリアン・マーフィー
- キティ・オッペンハイマー :エミリー・ブラント
- レズリー・グローブス:マット・デイモン
- ルイス・ストローズ:ロバート・ダウニー・Jr
- ジーン・タトロック:フローレンス・ピュー
- アーネスト・ロレンス:ジョシュ・ハートネット
- ボリス・パッシュ:ケイシーアフレック
- デビット・L・ヒル:ラミ・マレック
- ニールス・ボーア:ケネス・ブラナー
あらすじ
時は1954年。ソ連のスパイ容疑を受けているオッペンハイマーは聴聞会で追及を受けている。それと1959年の(スパイ容疑を掛けた人物)首謀者であるストローズの公聴会とが時系列が入り乱れて交互に展開される。
さらにオッペンハイマーの過去も加わりストーリーが進んでいく。
1926年、ハーバード大学を最優秀の成績で卒業したオッペンハイマーはイギリスのケンブリッジ大学に留学するが環境、実験物理学に嫌気が差し、ドイツのゲッティング大学に留学する。
1929年、博士号を取得した彼はアメリカに戻りカリフォルニア大学バークレーで教えながら、原子爆弾の可能性を読み取っていた。
マンハッタン計画
第二次世界大戦真っ只中、1942年、アメリカ軍のレズリー・グローブス准将から原爆を開発、製造するための極秘プロジェクト「マンハッタン計画」を立ち上げる為にオッペンハイマーを原爆開発チームのリーダーにした。
1943年 オッペンハイマーはニューメキシコ州に「ロスアラモス国立研究所」を設立して所長に就任する。そこには小さな街を作り、各地の優秀な科学者や、その家族など数千人を住まわせていた。全ては原爆完成を実現させるため。
トリニティー実験成功。そして原爆は投下される。
1945年5月8日に当初目標にしていたナチス・ドイツが降伏原爆開発が頓挫するかと思いきや、息も絶え絶えながらも未だ戦い続ける日本に標的を移し開発を続行する。
1945年7月16日、オッペン・ハイマー率いる、科学者たちは遂に核実験を成功させ、歓喜に沸いていた。だがそんな中、原爆の被害者たちの幻影がでたり自分のした事に疑問がわき始めてしまう。
だが1945年8月6日広島投下、9日には長崎に投下して、ついに日本が無条件降伏をして第二次世界大戦は終結した
その後も終わらない、今度は水爆の開発
ストローズの要請でオッペンハイマーはアメリカの原子力委員会の長として就任するが、ほどなくソ連原爆を完成させる事を知り、ストローズに水爆の開発を支持される。
だがそれに反対するオッペンハイマーと対立することになる。
世間から追いつめられるオッペンハイマーとストローズ
そして1954年オッペンハイマーはストローズから出来レースとして作られた聴聞会で世間から失脚される。
またストローズも1959年に商務長官に任命されるための公聴会で物理学者のヒル博士によりオッペン・ハイマーを失脚させたのはストローズ本人だと証言され、任命は否決となってしまう。
エンリコ・フェルミ賞受賞
1963年、オッペン・ハイマーはアメリカ合衆国の物理学賞を授与される。
彼は世間から許されたのか?
エンリコ・フェルミ賞
Wikipedia
アメリカ合衆国の物理学の賞。エネルギーの開発、使用または生産に関する業績を対象とする。米国エネルギー省が主催し、賞金は375,000ドル。エンリコ・フェルミの肖像画が入った金メダルが授与される。
感想
この映画の内容を3時間で納めるには余りにも濃すぎる内容でした。(これは大河みたいに1年掛けるレベル)ティーカップに乗ったように場面がクルクル変わるので、いつ振り落とされるのか?と冷や冷やしてました。
時間はストローズの方が新しいのにカラーがオッペンハイマーの聴聞会、モノクロがストローズの公聴会。
天才が見ている世界の方が、凡人より常に未来を見ているからでしょうか?あの青い瞳で見ている世界は私達には見えない量子の世界を見ていて、現実世界を見ていないようでした。
(天才の視点には狂気まで感じました)ストローズなんて視界にも入ってないんですから。
でもその世界を見られるようにしたのは、神なのか?悪魔なのか?
冒頭では「プロメテウスは神々の炎を盗み人間に与えた。この行為により彼は岩に繋がれて永遠に罰せられた」と流れてきます。
確かに炎は神が所持してましたが原爆は違うでしょ!原爆は。炎は物を作り出せますが、原爆は破壊です。一瞬で全てが無になるんです。それを知りつつも実験を推し進めていく様子には何度か涙がでそうでした。
「ここで引き返せれば良かったのに」そんな場面がいくつかありました。
一番心に残った場面
やはりトリニティー実験の場面でしたね。バイオリンの音が不安や焦りを煽っていて、自分も実験場にいるような感覚に陥りました。(心臓バクバクです)
そして原爆が爆発して光と共に、無音になる所は、静まり返った映画館でブラックホールのように吸い込まれていったのです。
オッペンハイマーや科学者達の喜々とした様子を見て心が更に虚無になっていきます。
一斉に足を踏み鳴らしているシーンはまるで何かの儀式のようで異様でした。(悪魔の集会か?)
この才ある人達は自分の才能と努力を世界に見せたかっただけなんじゃないのか?その意味が破壊を超えた破壊である事は無視をして。
オッペンハイマーの人物像
大学時代に気に入らない教授を毒殺しようとするところや多数の女性と不倫するシーンがあります。ストローズに対しては卑しい靴売をしていたのか?と言って蔑んでさえいました。
天才であるけれども人間として尊敬できるようなタイプではなかったですね。倫理観をどこかに忘れたような人です。
奥様がお気の毒ですが、それでもオッペンハイマーを叱咤激励している様子は「私がこの人を支えていく。」
そんな気迫と覚悟を感じられました。
最後に
最後にオッペンハイマーがアインシュタインに会って「以前、核爆発の連鎖反応が起こるかもしれない。と言いましたが、あれはできたんですよ」と言ってました。そしてアインシュタインは呆然としてしまい、ストローズに気が付かず無視してしまう。
後悔なんて何もない。ただ自分が見ている核の世界を現実に引き寄せたという事実。
最後の水面に浮かぶ無数の核が爆発しているシーンは未来の世界を見ているようで恐ろしかったです。天才の視点ですから。
この映画をきっかけに唯一の被爆国である日本の広島、長崎に世界中の人が興味を持ってほしいです。
そしてその惨劇から目をそむけない事で、平和の尊さを知り二度と核戦争など起こらないようになってもらいたい。そう願っています。